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8月上映予定:希望の灯り

はかなく密やかに、祝福のように
ままならない人生にも、
美しい瞬間がある


2019.8.17(sat)-23(fri)
11:00〜 14:00〜 17:00〜 20:00〜
前売り:1,100円/当日:1,300円


※前売り料金は8/16までのご購入(ご予約)の方に限ります。
ご予約はメール:cinema.chlorine@gmail.com またはお電話:TEL:083-227-4811 まで



閉店後、照明を落とした店内をフォークリフトがワルツを踊るように通路を行き交う、その優美さ。小さな誕生日ケーキの愛らしさ。水槽に詰め込まれた魚たちの悲哀。冷凍倉庫での愛情表現。ほのかな光に照らされた広大な田園風景と空の、はっとするほどの美しさ。誰も自分の悲しみを言葉にはしないが、クリスティアンが抱えているらしい心の傷やマリオンの苦しみ、東ドイツ時代を懐かしむブルーノの言葉は、ぐっと胸に迫る。

トーマス・ステューバー監督は、1981年、旧東ドイツのライプツィヒ生まれ。本作は、クレメンス・マイヤー(1977年、旧東ドイツ・ハレ生まれ)の短編小説「通路にて」を映画化したものだ。2人は、マイヤーの短編「犬と馬のこと」をステューバーが2012年に中編作品に映画化して以来タッグを組み、ステューバーの初長編映画『ヘビー級の心』(15/Netflixにて配信)では共同で脚本を執筆。本作も2人の共同脚本作であり、マイヤーはマリオンの夫役で出演もはたしている。


ベルリンの壁崩壊に続く1990年のドイツ再統一によって、旧東ドイツ人のなかには不遇をかこつ人々もいた。社会の片隅で助けあう人々の日常を静かに描き出す本作は、人と人との距離感という意味でも、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ作品に通じるものがある。「美しく青きドナウ」や「G線上のアリア」などクラシックの名曲の効果的な使い方や、カナダのゴシックフォーク・グループ、ティンバー・ティンバーの「Moments」をエンディング曲に選ぶなど、音楽センスも抜群だ。
*「通路にて」「犬と馬のこと」は新潮クレスト・ブックス『夜と灯りと』所収


旧東ドイツの巨大スーパーで働く人たち、
そのつましい世界のぬくもり


口下手なクリスティアン27歳。
夜間のスーパ一マーケットに職を得、
そこでマリオンに一目惚れしたが、ワケアリの人妻だった。
「飲料担当」と「お菓子担当」の傷い恋・・・
祖国が忘れられない、ブルーノ54歳。
毎晩ビー ルを飲みながら郷愁に浸る・・・


アウトバーン沿いのライプツィヒ近郊。ここで働く者たちは、ベルリンの壁崩壊、東西再統ーによって祖国を喪失した。その悲しみを静かに受けとめ、つま しく生きている。いま目の前にある小さな幸せに喜びを見出すことで日々の生活にそっと灯りをともす。そんな彼らの生きる姿勢が、深い共感と感動を呼びおこし、静かな波のざわめきのように深い余韻を残す。


ドイツ新世代のオ能を発見!


ワルツを踊るように通路を行き交うフォークリフト、その優美さ。小さな誕生日ケーキの愛らしさ。シュトラウス「美しく青きドナウ」やバッハ「G線上のアリア」、カナダのゴシックフォーク、Timber Timbreといった類まれな選曲センスに彩られ、あらゆるショットがはかりしれない美しさを湛えている。トーマス•ステューバー監督37歳、原作・脚本クレメンス•マイヤー41歳は、整然とした倉庫のような空間を詩的な小宇宙へと変貌させる。


ドイツの実力派俳優たちが表現する、
東ドイツ人の今


主人公のクリスティアンを演じるのは、フランツ・ロゴフスキ。ミヒャエル・ハネケ監督作品『ハッピーエンド』(17年)でイザベル・ユペールのうだつの上がらない息子を演じた、注目のドイツ人男優だ。ホアキン・フェニックスに似た翳りのある風貌で、内面にさまざまな葛藤を抱える寡黙な青年を好演し、本作で第68回ドイツアカデミー賞主演男優賞を受賞。

彼が一目惚れする年上の女性マリオンを演じるザンドラ・ヒュラーは、『ありがとう、トニ・エルドマン』(16)で仕事中毒の女性を演じて数多くの主演女優賞を獲得した、ドイツを代表する女優のひとり。クリスティアンに心惹かれながらも自分からは踏み出せないマリオンの心の揺れをチャーミングに演じている。

クリスティアンの上司ブルーノ役のペーター・クルトは、『グッバイ、レーニン!』(03)や『僕とカミンスキーの旅』(15)などに端役出演した中堅男優で、ステューバー監督の初長編映画『ヘビー級の心』では主演を務めた。かつての楽しかった時代を語るブルーノの姿は強い印象を残す。ちなみに、ザンドラ・ヒュラーとペーター・クルトもまた、旧東ドイツ生まれである。


ストーリー


内気で引きこもりがちなクリスティアン(27歳) (フランツ・ロゴフスキ)は、ある騒動の後に建設現場での仕事をクビになり、在庫管理担当としてスーパーマーケットで働き始め、レジでの雑踏やフォークリフトなど、自分にとって全く未知の世界に放り込まれる。そして彼はルディ(アンドレアス・レオポルト)、クラウス(職場で唯一ハンドパレットトラックの操縦を許可されている) (ミヒャエル・シュペヒト)、ユルゲン、飲料セクションのブルーノ(ペーター・クルト)と出会う。ブルーノは、クリスティアンに仕事のいろはやフォークリフトの操縦の仕方を教え、クリスティアンにとって父親のような存在になる。通路で、クリスティアンはスイーツセクションの同僚のマリオン(39歳) (ザンドラ・ヒュラー)と出会い、彼女の謎めいた魅力に一瞬で惹かれる。コーヒーマシーンのある休憩所が彼らのおきまりの場所となり、二人は親密になっていくが..



■上映作品(125分)


スタッフ


監督 トーマス・ステューバー
製作 ヨヘン・ラウベ
   ファビアン・マウバッフ
原作 クレメンス・マイヤー
脚本 クレメンス・マイヤー


キャスト


フランツ・ロゴフスキ
サンドラ・フラー
ペーター・クルト
アンドレアス・レオポルト
ミヒャエル・シュペヒト


作品データ


原題   In den Gangen
製作年 2018年
製作国 ドイツ
配給  彩プロ


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